また電気代上がる?100万バレルの原油生産削減サウジアラビアの決定について

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サウジアラビアとロシア

サウジアラビアが
8月と9月に

1日あたり100万バレルの原油生産削減を行うという決定


新型コロナウイルスのパンデミックや需要の遅れによる不確実性に直面する世界のエネルギー市場に衝撃を与えました。


この動きは、
原油価格を安定させることを目的としているものです。

しかし、この決定は、
昨年この地域で明るい兆しの一つであったサウジアラビア経済にも重大な影響を与えます。

サウジアラビアの原油政策は、
主に財政的な必要性と地政学的な利益に基づいています。

財政面では、サウジアラビアは予算バランスを取るために高い原油価格を必要としており、
2020年にはパンデミックと原油収入の崩壊によって大打撃を受けました。


実際、IMFは、サウジアラビアが2021年に財政的なブレークイーブンを達成するためには、現在の約75ドルのレベルよりもはるかに高い76ドルの原油価格が必要であると推定しています。

サウジアラビアとロシア


地政学的には、
サウジアラビアはOPECのリーダーシップ役割とロシアとの同盟を維持することを望んでいます。

この二つが連携して23カ国の原油生産を調整するOPEC+グループを形成しています。グループは2020年に9.7百万バレル/日という記録的な減産をした後、2021年5月から7月にかけて2.1百万バレル/日の生産増加を段階的に合意しました。


しかし、

イラクやナイジェリアなどのグループの一部のメンバーは、自らの割り当てに遅れをとっており、
サウジアラビアとロシアに不足分を補填するよう圧力をかけています。


サウジアラビアが1日あたり100万バレルの一方的な生産削減を発表することで、原油市場を支援する意欲を示し、価格の安定のために市場シェアの犠牲を払う意思を示したと言えます。


この動きは、ロシアとの強い協力を示し、
ロシアもサウジアラビアの決定を歓迎し、8月と9月に自国の生産を予想よりも少ない100,000バレル/日増産することに同意しました。


二国は、アメリカのシェール油生産の台頭に対抗するために、2016年にOPEC+同盟を形成して以来、
密接に協力しています。



サウジアラビアの原油削減は、
供給過剰を減らし価格を押し上げるため、世界の原油市場にポジティブな影響を与えます。


ブルームバーグによると、OPEC+のメンバーが割り当てに従い、需要が期待通りに回復すれば、

この動きは年末までに原油価格に1バレルあたり最大9ドルの上昇をもたらす可能性があります。

これは、サウジアラビアやロシアだけでなく、
世界中の他の原油生産国や輸出国にも利益をもたらすでしょう。


しかし、
サウジアラビアの原油削減は、原油収入と成長の見通しを減少させるため、サウジアラビア経済に対してもネガティブな影響を与えます。


ブルームバーグによると、2021年には約190億ドルの収益減少につながり、GDPの2.7%に相当するとされています。

これにより、原油価格の上昇分が相殺され、サウジアラビアが財政目標を達成することがより困難になると考えられます。


さらに、サウジアラビアの経済多様化の遅れにつながる可能性があります。


その理由は、同国のGDPの半分以上が原油に依存し、輸出の70%に原油が占めていることにあります。


サウジアラビアは、
観光、エンターテインメント、テクノロジー、再生可能エネルギーなどの新しいセクターを開発し、原油に依存しない経済を実現することを目指すVision 2030計画の下で野心的な改革を進めています。


サウジアラビアの原油削減は、原油市場を管理する能力とロシアとのパートナーシップに対する信頼を反映した大胆でリスキーな動きです。


サウジアラビアは、長期的な利益のために短期的な苦痛を耐える覚悟があり、高い原油価格が最終的に財政的な位置を強化し、経済的変革を進めることができることを期待しています。


しかし、この動きには、原油収入の減少、成長の鈍化、債務の増加、他の原油生産国からの競争の増加など、潜在的な課題や不確実性も伴います。


サウジアラビアの原油削減の成功または失敗は、今後数ヶ月間の世界の原油需要の進展と、他のOPEC+メンバーがどのように対応するかに大きく依存するでしょう。


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