世界経済分かってますか？アメリカとメキシコの貿易協定2023年

テクノロジー＆世界情勢
2023.07.10

目次▼
・USMCAにおける米国とメキシコの貿易関係
・労働者の権利と国境
・鉄鋼およびアルミニウム輸入
・農産物と貿易

USMCAにおける米国とメキシコの貿易関係

北米自由貿易協定（NAFTA）の後継として、

2020年7月に発効した
米国・メキシコ・カナダ協定（USMCA）は、
3か国間でよりバランスのとれた相互貿易を作り出し、地域の経済成長、イノベーション、競争力を支援することを目的としています。


この記事では、労働権、鉄鋼およびアルミニウム輸入、農産物の3つの領域に焦点を当て、USMCA下で米国とメキシコの貿易関係における主要な課題と動向について説明します。

労働者の権利と国境

USMCAの主な目的の一つは、
3か国全ての労働者の労働権を強化することであり、

特に労働基準が過去に低く、執行が弱かったメキシコにおいては、その労働権を保護する法律と実践を採用および維持することが求められます。

これには、結社の自由、団体交渉権、


強制労働および児童労働の廃止、差別や暴力の防止など、労働者の権利を保護するための新しい労働章が含まれます。


また、USMCAは、当事者間の貿易または投資に影響を与える特定の施設での労働違反を検証し、是正するための迅速な対応メカニズムを設けています。

米国は、米国の労働者や企業のレベルなプレイングフィールドを作る上で必要不可欠だと考えているため、これらの労働条項の実施と執行を積極的に推進しています。



2021年5月、
米国の貿易代表者（USTR）キャサリン・タイは、メキシコの2つの自動車部品工場で、労働者が自由で公正な組合代表権を認められなかったとされる、迅速な対応メカニズムの下での最初の2件の審査を発表しました。


2021年6月、タイはメキシコの対応についての進展と課題についてメキシコの対応者クラウティエル氏と会談し、

USMCAの下で労働問題に取り組む決意を再確認しました。

鉄鋼およびアルミニウム輸入

米国とメキシコの貿易関係におけるもう一つの問題は、


メキシコからの鉄鋼およびアルミニウム製品の輸入増加であり、これにより、USMCAの原産地規則に適合しているかどうかについて疑問が投げかけられています。



原産地規則は、貿易協定において、製品が優遇関税待遇を受けるかどうかを決定する基準です。


USMCAの下では、鉄鋼およびアルミニウム製品は、北米原産の割合が少なくとも70％でなければ、
無税でのアクセスの対象となりません。

2021年7月、タイは、
2020年に前年比で鉄鋼輸入が64％、アルミニウム輸入が36％増加したメキシコに対して、鉄鋼およびアルミニウム輸入増加に対応するよう求めました。


タイは、これらの輸入の一部が原産地規則の要件を満たしていない可能性があること、およびこれらの輸入が米国の関税またはクオータの対象となっている他の国から転用されている可能性があることについて懸念を表明しました。


タイは、鉄鋼およびアルミニウム製品の貿易が公正かつ相互に有利であり、競争力のある北米市場の発展を支援するよう、メキシコと協力するよう求めました。

農産物と貿易

米国とメキシコの貿易関係に影響を与える第3の問題は、農産物、特に豚肉、乳製品、トウモロコシ、ジャガイモの市場アクセスと規制障壁です。


USMCAは、当事者間で取引されるほとんどの農産物に対して無関税アクセスを維持しますが、検疫・植物検疫（SPS）措置、バイオテクノロジー、地理的表示、ワインおよびスピリッツに対処する新しい規定も含まれています。

米国は、
メキシコが健康または安全上の理由で課したさまざまなSPS制限により、
農産物を輸出する際にいくつかの課題に直面しています。


たとえば、2003年以来メキシコは、
害虫や病気の懸念から、米国の生のジャガイモの輸入を禁止しています。


2021年6月、
メキシコの裁判所はこの禁止を解除することに反対する判決を下しました。


米国のジャガイモへの限定的なアクセスを許可する前の合意にもかかわらずです。

米国はまた、2018年から2019年にかけての米国の鉄鋼およびアルミニウムの関税に対する報復関税として、
メキシコが米国の豚肉に対して課した非関税障壁（検査および認証要件など）により、
豚肉製品の輸出に困難を感じています。


これらの関税はUSMCA発効後に撤廃されましたが、メキシコは依然として米国からの豚肉輸入に非関税障壁を維持しています。

USTRは、これらの問題を解決し、メキシコがUSMCAの下での自らの義務を果たすことを確実にするために、メキシコと協力しています。


2021年7月、タイは、メキシコとの貿易に関する懸念事項と優先事項について、米国の農業団体の代表者と会談しました。タイは、SPS問題を含む農業貿易に関する他の問題、バイオテクノロジー承認、乳製品市場アクセス、有機等価性などについて、引き続きメキシコと協力することを約束しました。

まとめ

USMCAは、米国、メキシコ、カナダの経済統合と協力を強化することを目的とした現代的かつ包括的な貿易協定です。


しかし、協定の実施および執行は、
米国とメキシコの貿易関係において、特に労働権、鉄鋼およびアルミニウム輸入、農産物の領域において、いくつかの課題と機会を提供しています。


米国貿易代表部は、
これらの問題に対処し、米国とメキシコの貿易が公平でバランスのとれた相互利益になるようにするために、積極的にメキシコと協力しています。

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